小林 エリカ  ERIKA KOBAYASHI

作家

74年横浜市出身 
日本大学芸術学部を卒業後、NYにてアシスタントを経て独立。
03年より東京にベースを移す。
ファッションからランドスケープまでユルさとスルドさをあわせ持つ、オリジナルの視点で切り取ってゆく。地球がアソビ場?の如く世界を旅するフォトグラファー
雑誌:『Esquire』『NEUTRAL』『TRANSIT』『Number』
広告: CASIO、日本ビクター、三菱商事
CD: 菊地成孔 『野生の思考』など




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Message to MVP(2007年)

MOGU VILLAGEさま
黒と白のチェック、あるいは、黄色と黒と白のチェックのアフガニスタン・スカーフを首にぐるりと巻いて愛用させていただいています。
そのスカーフを巻くたびに、考えること。

まだ、私が十代だった頃、旧ユーゴスラビアのニュースのテレビのニュースの中に、私が履いているのと同じスニーカーを履いた男の子を発見したことがあります。
十代と見えるその男の子は、銃弾の中を逃げ惑っていて、私は、驚きながら、彼をずっと目で追いました。
すごく遠いと思っていた戦場で、自分とおなじ白色に紺と黄緑のラインが入ったスニーカーを履く男の子が、いまにも殺されようとしていたのです。
それは、私の中で、戦場と私の今いるこの場所が、ひとつながりに繋がっているという事実を知った、はじめての出来事でした。



昨今、テレビの中で時たま、私とお揃いのスカーフを頭に巻いているおじさんたちを発見しています。
黒と白のチェック、あるいは、黄色と黒と白のチェックのアフガニスタン・スカーフです。
あっ、お揃い!
私は誰にともなく思わず口走ります。
そして、スカーフを巻くたびに、そのおじさんたちのことを、アフガニスタンのことを想います。

いつか、私が東京で、旅先で、アフガニスタン・スカーフを巻いている写真や何かをたまたま見て、アフガニスタンのおじさんたちもまた、
あっ、この日本の女、俺たちとお揃い!
と思ってくれるような日が来たらいいな。

戦場と私の今いる東京は、こことよそは、遠くと近くは、あなたと私は、確実に繋がっていて、それを私はすぐ忘れてしまうけれど、
意外と案外ちょっとしたことで、思いだすことができるのかもしれないと、スカーフを靡かせる今日この頃です。